中学受験算数学習法

計算は速さと工夫が命です

算数は数を扱います。論理的思考力ももちろん、必要ですが、それ以前に、最も大切なことは、「確実な」計算力です。


・正確な計算力は正しい解答を得るために必要です。

・素早い計算力は、答案を早く仕上げるために必要です。

・普段から工夫して計算する癖をつけることが、論理を司る脳の活性化につながります。


その1 正確な計算力を身に着ける

できれば、小学校の5年に入るまでに、整数の計算・小数の計算・分数の計算の基本はできるようになっておきたいものです。

近年、ようやく学習指導要領が改訂され、(前回の改訂前の状況にもどったということですが)小数の計算は小学校5年で終了(改訂前は6年で終了)。約分・通分、分数×整数、分数÷整数は5年。分数×分数、分数÷分数は6年。多少はよくなった感があります。でも・・・、残念ながら、まだまだ間に合いません。

計算だけでしたら、家庭で、お母さんやお父さんと一緒に分数までの基本的な学習はできるはずです。5年になる前に、分数の四則計算(もちろん、通分・約分も)、計算のきまりは理解してできるようになっておきましょう。

そのためには市販の教材を上手に使いこなすことが肝心。

計算さえきちんとできるようになっておけば、5年から本格的に受験勉強にかかっても決して遅くはありません。


その2 計算の速さを身に着ける

計算は、いくら正確にできてもスピードがないと難問に対応できません。

なぜでしょう。

そのためには、まず、算数の難問の仕組みを知る必要があります。

たいていの難問は、AなのでB、BなのでC、CなのでDというように、いくつかの壁を突破して解答に至ります。

ですが、この一つ一つの壁を超える際に複雑な計算が必要な場合も多く、ここで手間取ると、思考が中断され、解答への思考の流れが止まってしまいます。素早い計算は思考を助けてくれるのです。

こういった場合以外でも、おおよそ幾つぐらいの数が適当かを見極める際に、素早い計算力は不可欠です。子供たちが算数を解くのは、必ずしも論理的に、というわけではありません。解答のおおよその目安を付けたうえで、あらためて考える、そうやって難問をこなしていく子もたくさんいます。

こういった点から、計算が速いことはそれだけで武器になるのです。


その3 計算の工夫をする

工夫をすることも、速く正確にやるためには絶対に必要です。

分かりやすい例を書いておきます。

・25×24=25×4×6=100×6=600

これは慣れてくれば一瞬で答えが出ます。

25×25=625を覚えていたら、25×24=625-25=600と求めることも一瞬でできます。

他にも、

・33×99=33×100-33=3267

・67×5=67×10÷2=670÷2=335

などもふだんの計算に使えます。

ふだんからこういった工夫の癖を身に着けておけば、入試問題の演習の際に必ず力になります。


いかかでしょう?

計算の力の必要性を、多少でもご理解いただけたでしょうか。


毎日の計算で身に着ける

こういった計算力は毎日の計算で身に付きます。スピード、正確さ、工夫を意識して毎日の計算に取り組んでほしいと思います。

ただ、計算練習するときは、機械的に「何でもひっ算」と考えず、工夫ができそうなところは工夫し、スピードも意識してやっていくことが大切です。

よく、単純計算の繰り返しは時間の浪費と考える保護者がいらっしゃいますが、それは大いに間違っていると断言します。

百マス計算もきちんと時間を計って、真剣に取り組めば、効果は大きいです。単純計算をバカにしてはいけません。

計算力を身に着けるテキストとして、面白い本を見つけました。

低学年からでも使えるようです。

10才までに身につけたい算数センス楽しみながら思考力を伸ばす!数と計算のくふう編 (きっずジャポニカ・セレクション)